Moku's インタビュー木を選ぶ人と

Interview

美しい天井の肘木工法と見出し建築はアート性も高く
快適性と安全性を兼ね備えた木造校舎のロールモデル

いの町立伊野小学校校舎

設計監理/株式会社 上田建築事務所
話/元校長岡林先生

住宅街になじむ木造校舎に一歩入ると漂うすがすがしさ。取材時はあいにくの雨でしたが、天然ヒノキの床のため、タイルのように滑ることなく湿気も感じません。木材だけでなく、壁の多くに使用されている土佐漆喰の調湿機能が働いているおかげでした。
この校舎や体育館で用いられている天井の肘木構造は美しく一見の価値があります。それ以上に感心したのは、子供たちの安全を守る避難場所としての安全面に配慮しつくした設計。まさに木造校舎建築の見本としてふさわしい小学校でした。

幅8mの廊下は、第三の教室に。

校長として赴任してきたのが新校舎になって半年目。木の温もりと開放感に感激し、この校舎に魂を吹き込むのが自分の仕事であると決心しました。
校舎の自慢の一つが広い廊下。子供たちは各学年の教室の前を、いつのまにか1年(各学年)広場と呼んでいました。たんに通路としてだけでなく集会や授業をしたり展示スペースとして活用したりしています。効果を発揮したのがコロナ禍です。他校では参観日の中止が相次ぐ中、当校では廊下から、ゆったり授業を参観していただけました。

いの小学校は、各学年2クラスあり、教師は新人とベテランをペアにし交換授業や、廊下での合同授業をすることで学力の均等化を図っています。ヒノキの床なので地べたに座っても児童はむしろ気持ち良いそうです(笑)。この校舎の利点を有効利用することで、子供だけでなく教師も成長にもつながり、いの小学校の取り組みは学力や生活面を含めて高い評価を頂いております。

肘木組の天井が美しい体育館は、避難場所の最後の砦

伊野小学校の建築で感動したのが天井です。体育館の天井が分かりやすいかと思いますが(写真参照)肘木組という建築法が見た目も圧巻です。

また校舎1階の天井は5mも高く、開放的で心地よいのですが、これは安全面を考えてのこと。この地区は仁淀川の反乱による最大浸水5mの区域に指定されているため、1階の天井が5mになっているのです。さらに想定外の場合に備えて体育館は2階より高い位置にあります。さらに体育館の上は倉庫になっており、非常に安全性の高い避難場所としての役割を兼ねています。

上田建築事務所にお聞きしました

もくまる

この校舎はRCと木造のハイブリットとなっているそうですね。

建物の延べ床面積が3000㎡以上なら通常なら耐火構造(RC造)にしなければならず木造はできませんが、校舎の真ん中にRC造を挟むことで木造を可能としました。
この地域は仁淀川の反乱による浸水の恐れがあるため、1階をRC造、2階を木造としました。

もくまる

柱や梁を見せる見出し建築となっていますね。

柱は一般的な120格よりはるかに大きい180格にした燃えしろ設計を採用することによって、柱や梁の構造が見られる見出し建築としました。そのことで天井が高くなり、広々とした感覚や大きな木の存在感も楽しめます。
この校舎には、伐採時期を迎えた町有林を有効活用して原木支給いただいたものです。地産地消、環境問題にも貢献した建物と言えます。

もくまる

体育館の天井の肘木構造は圧巻ですね。

肘木構造とは社寺建築でみられる構造で、私の父と仲間が工夫を施し、現代建築にも活用普及させていきました。この体育館は、広さ21.45mの大スパンでしたので、肘木構造を3段持ち送りすることで丈夫に支えています。また小屋根や、桧の集成材(180×270)で、肘木を含め5段重ねにするなど、かなり挑戦をした設計です。

この建物も高さ13m、軒高9mを超えるため、準耐火構造となっていますが、燃えしろ設計を行うことによって梁を見せることがきでました。

もくまる

木造建築をご検討されている方へメッセージをお願いします。

木造の建物は、防火、耐火など難しいイメージもあるかもしれませんが、最近では法律も緩和され、木造化しやすくなりました。木や自然素材の持つ良さは、きっと快適性を向上させてくれますので、ぜひご検討ください。

いの町立伊野小学校

設計監理:
上田・細木設計共同企業体
施工:
新進・勝賀瀬特定建設工事共同企業
工法:
混構造 準耐火建築物
構造:
木造
敷地面積:
13791.5㎡
延床面積:
3630.9㎡
竣工:
2017年7月

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