Moku's インタビュー木を選ぶ人と

Interview

世界初の木質リゾートホテル
「オーベルジュ土佐山」
自然素材にこだわった建築で非日常を演出

オーベルジュ土佐山

設計/株式会社 細木建築研究所
建主/土佐山 中川をよくする会
管理委託/株式会社 オリエントホテル高知

木質リゾートホテルの先駆けとして20年。今なおゲストに非日常の豊かな時間を提供し続けるオーベルジュ土佐山。住民が主体となり生み出した開業までのあゆみと、地域のコミュニティとして機能を併せ持つ建物の魅力について、細木建築研究所の細木氏とオリエントホテル高知阿久津専務にお話を伺いました。

10年の歳月をかけて中川地区みんなの思いが一つのカタチに。
地域から誕生した活性化の柱!オーベルジュ土佐山は地域の誇り。

中川という呼び名は久万川、東川、中切の三集落をまとめた名称。オーベルジュ土佐山は、この三集落の活性化の動きから誕生しました。そのため、施主は行政ではなく地域の人というのがユニークな点です。

もともと小学校が統合されるにあたって、住民が集える場所を作ることに端を発し、最終的に宿泊施設の建築へ。そこに至るまでなんと10年。ワークショップを重ねながらオーベルジュが完成しました。ここを中心に、花を植え、蛍を育てるなど美観を守ったり、祭りを盛りあげたり。20年を経てもなお地域活性化の動きは続いています。

(談:オリエントホテル高知専務 阿久津初夫専務)

オーベルジュ土佐山そのものが一つの景色に。
自然に溶け込む贅沢な感性を呼び起こし、温かな心の交流が生まれる場所に。

「部屋の中にいながらも外にいるような感覚がある」。宿泊客からたびたび寄せられる感想です。自然との一体感を楽しめるオーベルジュ土佐山の魅力はいくつもあります。外観は、25年を経てさらに景色に溶け込みました。一方館内は、ふんだんに使われた杉や檜をはじめ、漆喰、土佐和紙、天然石の床などの自然素材で設えられています。客室につながる通路では、四季の移り変わりをそのまま慈しめます。客室にいながらにして、穏やかな山村の景色も堪能できます。その一つ一つに、自然への優しいまなざしが感じられる設計だと思います。

そして、このオーベルジュが高い評価を受け続ける一番の理由は、地域住民に愛され続けているからだと思います。
指定管理を任されております私どもオリエントホテルグループは、100年続く施設を、地域の皆様と一緒に守り育てております。 メンテナンスにおいても細木先生に相談し、大切にケアをしております。「建物自体は美しい経年劣化をしておりますが、20年以上たっているとは思えない」というお声もあり、私どもの喜びにつながっております。

(談:オリエントホテル高知専務 阿久津初夫専務)

管理委託/オリエントホテル高知様、細木建築研究所 細木 淳建築士にお聞きしました

もくまる

オーベルジュ土佐山と地域との関わりを教えてください。

友人の紹介で中川地区のワークショップにボランティアで参加したのがきっかけです。集会所を作るという話から、最終的には役場を巻き込んだ一大事業となり、当社が設計を受けることになりました。

この設計には、風土を愛する地域の思いや誇りが散りばめられています。わかりやすいのは、アプローチの水路です。住民の「昔遊んだ水路を取り入れたい」という声から生まれました。この水路は、今も定期的に住民とスタッフが共同で掃除をされており、本当に素晴らしいことと思っています。

写真右 オリエントホテル高知 阿久津様
写真左 建築士細木 淳氏

もくまる

設計ポイントについて教えてください。

今でこそ、木造ビルが世界中に建築されておりますが、リゾートホテルのような建物で、木造建築を試みたのはオーベルジュ土佐山が世界初と認識しています。

当時は、ホテルと言えば鉄筋コンクリートのビルがドンと建つのが一般的でした。しかしそれでは趣も何もないと考えたことから、山肌に沿う分棟というアイディアが生まれました。館内の梁をむき出しにする手法も、当時は画期的でしたが、私たちの属する土佐派の考え方が由来です。

使用した材料も、できるかぎり自然素材にこだわりました。本物は古くなりません。いかに美しく古びさせるかが大切です。これは木造建築において重要なポイントです。設計においても雨仕舞などの配慮が施されています。本物を使うことが逆に非日常を彩ることにつながったと思います。

もくまる

木造の非住宅施設を検討されている方へのメッセージをお願いします。

木造建築は、鉄骨に比べ、リラックスした空間になるのは、誰もが感じるところでしょう。そして、規模にもよりますが、鉄骨よりローコストに仕上がることもあります。  高知県には木造に精通する設計士がたくさんいるので、自分にあった建築士を選んでみてください。

オーベルジュ土佐山

所在地:
高知市土佐山東川
主要用途:
宿泊施設
建築主:
土佐山村
設計者:
株式会社 細木建築研究所
施主者:
大旺建設 株式会社
敷地面積:
6540.48㎡
建築面積:
1484.09㎡
延床面積:
1階2009.84㎡ 2階1123.18㎡
階数:
地上2階

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    無駄のない動線や家事のためのゆとりあるスペース、さらに寛ぎの空間を確保するなど、担当された女性建築士の視点から提案された様々な配慮が行き届いた古民家改修例をご紹介。

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    オーベルジュ土佐山

    世界初の木質リゾートホテル 「オーベルジュ土佐山」 自然素材にこだわった建築で非日常を演出

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